大役萬 / セルフライナーノーツ


1   大役萬のテーマ

こういうマイナーコードの下降進行は大好物なんです。(F#m-F#m/E-D#m7(b5)-D7)
月亭可朝師匠「なげきのボイン」と三波春夫先生「大忠臣蔵」の今様といった風合いで
考えてみました。麻雀でも何でもそうですが、射倖性の強いゲームって、その人の性格が
出ます。僕はいつも大きい役の前になると怯んでオリて(麻雀用語で他の人の当たり牌を
出さないようにすること)ました。人生と同じです。後塵を拝して逸や四十年。
ホコリ被りすぎました(笑)。そろそろ大勝負の当り牌を引き当てたいところですがこれ如何に!




2   溝ノ口太陽族

「太陽族」は1950年代に流行した言葉で「愚連隊」などとも同様に扱われた、無秩序な
若者及びそのムーブメントを若干疎ましく標榜した言い回しですね。
だけど、そういう無秩序こそに様々なエナジーが含まれていると思います。
そしてそういうエナジーはいつの時代も、結構路地裏や荒地、つまり退廃的な所から誕生して
いる気がしてなりません。セックス・ピストルズがアメリカでなくイギリスで生まれたことも、
えぇじゃないか運動が幕末の、二進も三進もいかない日本で生まれたこともその例外でない。
それって、ブルースじゃないですか。時代に於ける「ブルース」。
アニメのタイアップ用の曲で書かせていただきまして、曲調こそアップテンポですが、僕は
歌わせてもらうときは、いつも心に「ブルース」を持って臨んでいます。




4   ひとり de Go!! Fun!! 炊飯ジャー

この曲は、カミさんが里帰りをしていて、一人で晩御飯をこしらえている時に生まれました。
パスタを茹でてレトルトをかけて食うかなどと考えあぐねていた時に天の声が。
「日本人なら米を喰え」と。実に古式ゆかしい愛国心だと思いますが、こういうの
ってホッとします、僕は。ご飯と味噌汁とお新香。That's All.Nothing needs anymore.
曲調は戦隊ヒーロー物。何故でしょう。「manzo君と言えば戦隊モノ」だそうで。
All Right、望むところです。精魂込めて作りました。ホカホカのうちにお召し上がりくださいませ。




5   哀しき刑事 BURAI-MAN

イントロで「んっ!」って思った方は、ご安心ください。コードもメロディーも、何一つ
「あの曲」とは違いますから(笑)こういう事するのが昔から大好きなんです。
最近はスタイリッシュな刑事ドラマもありますが、僕は、汗流してる老獪の刑事が大好きです。
昼間は安いざるそばを喰らい、張り込みはアンパンと牛乳を頬張る。こういう絵を見るだけで
昇天します。中学からはアニメは殆ど見ず両親と一緒に刑事物と2時間サスペンスばかり見てました。
結果、こういう曲を書くのが大好きになりました。需要がないのが残念なのですが。。。
誰か発注くださいね!待てこれライナーだろ。何プレゼンしてんだ俺は。




7   だるま落としのように

「神は乗り越えられない試練を与えない」と巷間でよく言いますが、年を負うごとにこの言葉の意味が
身に沁みてまいります。皆さまお元気でしょうか。マネージャーと肩を並べて呑むと決まって
「踏ん張っていくしかないよね。今が正念場だ」と言うので「それ去年も言ってたじゃん。じゃぁうちらは
毎年正念場なのかよ!」と突っ込み返すのが最近では定例となりました。
というのも世知辛い話、酔いが回ると二人で決まって金の話なのです(笑)
「だけど、それだけ『背負えている』んだよな!俺たちは、」とアルコールでそれぞれに居酒屋で自らを
慰めているオヤジ二人ですが、これはもしや日本の縮図の一つなのかなぁと思いました。
稼いだお金が、本当にだるま落としのように消えていく。インディアン嘘ツカナイ。残高モ嘘ツカナイ。
また明日も、試練なのです。とりあえず、一杯飲もうかテツ。先行って飲(や)ってるわ。




10  奥までマンボ

トリックアートやステレオグラムなど、人間の視覚やそれに付随した錯覚を活用した作品は多くありますが、
何故か聴覚を活用した作品が表に出ることが少ないですよね。タモリ倶楽部の「空耳アワー」などがその一例
ですが、著作物として販売されている物は些少に思います。僕が敬愛するつぼイノリオさんは名作「金太の大冒険」
でそれを難なく成し遂げたわけですが昨今の規制がシビアな時代にその流れを継承したくても現在は多難であります。
僕のみならずプロデューサーも絞首刑に処されるのは必定。
そこで考案されたのが当該曲でございます。「だまし絵」ならぬ「だまし音」。
何一つ淫猥なことは申しておりません。お子様とご一緒にお楽しみくだs・・・。いややっぱやめときましょうか(笑)




11  我等!鷹の爪団

秘密結社「鷹の爪団」。何をやってもダメな人たちなんです。世界征服などと、尊大な野望を夢見ていても誰かが
足を引っ張る。でもめげない。頭もたいして回らない。だから前にされた辛い仕打ちとかも忘れちゃう。
かつて渡辺淳一氏が「鈍感力」という言葉を表して流行語になっていましたけど、彼らはその鉄壁のシンボルです。
でも考えてみると、鈍さって強さになり得るわけです。強さは愛です。彼らには、愛はあるのです。
その愛すべき半端モノたちのエンディングテーマなのです。あれ、考えたら僕も半端モノだった。考えなくてもそうだけど。
道理で彼らが好きなわけだ。というわけで、鷹の爪団の団員の一人として、ご一緒に!
(f・Д・)fた〜か〜の〜つ〜め〜




14  むすこのえかきうた

おえかきしたいけど くれよんがない ねぇねぇ ちょっとかして なんでだめなの それよかさ まえからおもってたんだけど
きみ かわいいね きれいなおててだね ちょっとさわってもいい なんでだめなの いいじゃんかけちんぼ きれいなあんよだね
ちょっとさわってもいい なんでだめなの わかったよもう ぼくのこときらいなんだね ばいばい さよおなら え なんで
てをひっぱるの なんでうつむいてるの え そっちいくの そっちはくらいほらあなじゃん あぶないよ うんわかったよついてくよ 
あれ なんでおかおがあかくなってるの あれ なんでおめめをきゅうにとじたの あれ なんでぼくのてをそこにするの
あれ なんでおおきくなってるんだろ なんでだろ  なん   で        だ            ろ




15  グレープフルーツサマー

ヒッピームーブメントの三種の神器。Sex,Drug,Rock'nRoll。カッコイイよなぁ。僕の場合はホッピームーブメント(笑)。
三種の神器? 手ずり・焼酎・変拍子といったとこ。学生時代は酒とプログレの日々。
プログレってちょっと形式ばってて、取っつきにくい風があるんですよ(最近の若手の人たちはそうでもないと思いますが)。
作曲家になりたての頃、いつか「楽しいプログレ」なるものを作ってみたいなぁと思ってたけど、90年代中盤、ポップスが
円熟味を増す中の発注で「プログレ系でよろしく」なんてものがあるわけもなく、時は過ぎあっという間に15年。
6/8、5/8、4/4からなる複合拍子ながら歌詞は河島英五さんばりの呑んだくれの主人公。いわば複合機。エプ○ンもびっくりだ。
まぁびっくりしないと思うけど。ドラムの麻生さん「マーズ・ボルタみたいでかっこいいっすね」そんな勿体無い!
この曲はPチェックを通過するかどうか不安だった。野崎P「面白いじゃん。こういうのがいいのよ」大英断してくださって
本当に感謝です。だから今夜も感謝を込めて。「おやじ!生グレ!」




16  続・溝ノ口太陽族

何で悩んだって、一番悩んだのはタイトルでした。「情熱☆灼熱☆溝ノ口」「BURAI-HA」など、様々あったのですが自分の中で
どうも腑に落ちない。懊悩の日々を察されたのでしょうか、ある日野崎Pからメールが。「シンプルに『続・溝ノ口太陽族』とか
いかがでしょうかね」と書いてありました。うん、それだ。それしかない。と。あれ?んじゃぁタイトルは僕じゃなくて野崎P
考案じゃないか!!!(笑)はい、実はそうです。曲調は「前回よりも硬派で行きたいですね」という岸監督のオーダーに
則り、制作してみました。先だってアーティストのDAIGOさんに「Bメロの3/4拍子んとこ面白いっすね!」と言われました。
嬉しいです!だけど、みんなあそこで手拍子が止まるのが申し訳ないような気もします。が、黒木香さんが昔言ってました。
「禁欲こそ快楽への道だ」って(笑)サビに行った時にホッとする。放出されるんです。





17  まなびや

僕の生まれた新宿という街は、昭和から平成にかけて、再開発と少子化の波をダイレクトに受けたところです。母校の小学校も中学校
ももうありません。校舎も学校も。辛うじて高校はあるのですが、数年前に旧校舎を取り壊すこととなり「旧校舎お別れ会」なる式典にも
参加してきました。もうボロボロになった校舎を見た時に、まるで厳格な父のようで温かい母のようで、全てを携えてこの世を去るかの
ような、達観した風貌にさえ見えました。他所で何やら闇雲にモノをぶっ壊す歌を歌っている僕が言うのも何ですが(笑)、建物って
生き物です。人が集い、笑い、泣く。それはすなわち歴史なんです。私たちはそのゆりかごに揺られて、大きくなり、やがて次の世代へ
受け継いでいくのです。
皆さんは「まなびや」でどんな事をかつて学びましたか?僕は、その思いをこの歌にしてみました。





18  萬チェ☆大歌謡祭

この曲はトラック5「哀しき刑事 BURAI-MAN」同様、インストゥルメンタルです。が、野崎P「この楽曲をバックにあるアイデアがある
のですが」とのご提案があり、それを聞いて大爆笑。「是非やりましょう!」ということで頑張ってみました。
僕自身は「往年の歌番組で司会をしていた頃の久米宏さんを意識して、結果大失敗している売れない地方局のアナウンサー」
を意識しております。カマずにしゃべる。すごい芸当です。僕は食べ物はよく噛まないくせに、べしゃりはよく噛みます。困ったものです。
あめんぼあかいなあいうえお。
オケはシオ○ギミュー○ックフェア風です。別に誰に喧嘩を売っているわけではありません。違いますからね本当に!
例によってコードもメロディーも違いますってんだ!ぶはははははは!
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